●無議決権配当優先株式の評価−その2
国税局の質疑応答事例「種類株式の評価(その2)−上場会社が発行した普通株式に転換が予定されている非上場株式の評価」において、�普通株式に優先して配当がある、�普通株式に先立ち払い込み金額を限度として残余財産の分配が行われるという二つの要件を満たす種類株式について、利付公社債として評価するものとされていますが、この判断は少数株主の保有する株式にも適用されるのでしょうか。
下記にて説明します。
国税局の質疑応答事例「種類株式の評価(その2)−上場会社が発行した普通株式に転換が予定されている非上場株式の評価」において、�普通株式に優先して配当がある、�普通株式に先立ち払い込み金額を限度として残余財産の分配が行われるという二つの要件を満たす種類株式について、利付公社債として評価するものとされていますが、この判断は少数株主の保有する株式にも適用されるのでしょうか。
下記にて説明します。
少数株主の所有する株式は配当還元方式にて評価するものとされますが、無議決権 で優先配当とされた種類株式の評価の場合に、「社債類似株式」として利付公社債等 に準じて評価される場合があると聞いていますが本当でしょうか。
下記にて説明します。
上場企業が、取締役あるいは従業員等にストックオプションを付与する場合には、会社法においても、複雑な手続きがありますが、ここでは、会社法における公開会社(いわゆる上場企業)が、ストックオプションを付与する場合の金融商品取引法における開示の手続きについて説明したいと思います。
会社法における公開会社が、取締役会の決議によって、ストックオプションの発行に関する募集事項を定めた場合、その割当ての2週間前までに、株主に対して、この募集事項を通知・公告しなければなりません。しかしながら、このような募集事項の通知・公告を要しないとされる場合があります。それは、割当ての2週間前までに、金融商品取引法の規定に基づいて、次に掲げる書類(会社法第238条第1項に規定する募集事項に相当する事項をその内容としているものに限る)の届出または提出をしている場合(当該書類に記載すべき事項を金融商品取引法の規定に基づき電磁的方法により提供している場合を含む)とされます(会社法施行規則第53条)。
その書類とは、以下の書類を指します。
(1) 金融商品取引法第4条第1項または第2項の届出をする場合における同法第5条第1項の届出書。
(2) 金融商品取引法第23条の3第1項に規定する発行登録書および同法第23条の8第1項に規定する発行登録追補書類。
(3) 金融商品取引法第24条第1項に規定する有価証券報告書。
(4) 金融商品取引法第24条の5第1項に規定する半期報告書。
(5) 金融商品取引法第24条の5第4項に規定する臨時報告書。
このうち、ストックオプションを発行する場合に、通常提出する書類は、ストックオプションの効力を適切な時期に生じさせたり、あるいはストックオプションの発行に際して、届出あるいは提出される書類とは想定できないという理由から、(1)の届出書および(5)の臨時報告書が該当することとなります。
さらに、このような届出書および臨時報告書の届出義務が免除される場合が存在します。それは、譲渡が禁止される旨の制限が付されており、かつ発行会社あるいは100%完全子会社取締役、会計参与、監査役、執行役または使用人を相手方として、当該ストックオプションの取得勧誘または売り付け勧誘等を行う場合です(金融商品取引法施行令第2条の12および企業内容等の開示に関する内閣府令第2条第1および2項)。
さらに、金融商品取引法では、発行価額または売出価額の総額が1億円未満の有価証券の募集または売出しの場合には、届出の義務が免除されます(金融商品取引法第4条第1項5号)。この場合の発行価額とは、ストックオプションの場合、当該新株予約権証券の発行価額または売出し価額の総額に当該新株予約権証券に係る新株予約権の行使に際して、払い込むべき金額の合計額を合算した金額とされています(企業内容等の開示に関する内閣府令第2条第3項2号)。
したがって、有価証券報告書を提出しなければならず、上記の届出書および臨時報告書の届出義務が免除される会社に該当しない場合には、投資家保護のために必要かつ適切な会社とみて、臨時報告書を遅滞なく内閣総理大臣に対して提出しなければなりません(金融商品取引法第24条の5第4項)。
なお、臨時報告書には、記載の事項を記載しなければなりません(企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項2号二)
(1) 新株予約権の銘柄
(2) 発行数または売出数
(3) 発行価格または売出価格
(4) 発行価額の総額または売出価額の総額
(5) 新株予約権の目的となる株式の種類および数
(6) 新株予約権の行使に際して払い込むべき金額
(7) 新株予約権の行使期間
(8) 新株予約権の行使の条件
(9) 新株予約権の行使により株券を発行する場合の当該株券の発行価格のうちの資本組入額
(10) 新株予約権の譲渡に関する事項
(11) 新株予約権を取得しようとする者の名称、住所、代表者の氏名、資本金または出資の額および事業の内容
(12) 出資関係、取引関係その他これらに順ずる取得者と提出会社との間の取引
(13) 保有期間その他の当該株券または新株予約権証券の保有に関する事項についての取得者と提出会社との間の取り決めの内容
近年、従来の役員退職慰労金制度から、新株予約権を利用した類似する報酬制度を採用し、自社株オプションを役員に支給する企業が増加しています。
2007年1年間で役員の退職金をこの制度に変更した企業は158社、前年比4割増しとなっています(日経新聞より)。
平成16年11月、伊藤園が国税庁へ照会した条件による新株予約権の付与について、退職所得として認められたことを契機として、このような新株予約権の付与が急速に普及していったものと考えられます。
画像の確認
平成19年11月にストック・オプションを割当てた企業は11社
当月の注目すべきストック・オプションは、リサ・パートナーズのストック・オプションです。新株予約権の取得事由および取得条件に“新株予約権割当日から新株予約権を行使することができる期間の開始日の前日までの間に、東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値が一度でも権利行使価格の70%(1円未満の端数は切上げ)を下回った場合において、当社取締役会が取得する日を定めたときは、当該日が到来することをもって、当社は当該新株予約権を無償で取得することができる。”と記載があります。
ストックオプションは譲渡制限が課されていることが多く、したがって、従業員は権利行使することによりストックオプションの価値を実現させます。しかし、全ての従業員が同時に権利行使することはほとんどなく、権利行使するタイミングは従業員によって異なることが通常です。それでは、従業員はどのようなタイミングで権利行使することが多いのでしょうか。
従業員は付与されたストックオプションを、期限が満了する以前に行使することが通常です。このことを「ストックオプションの期限前行使」といいますが、会計基準では「ストックオプションの期限前行使」を費用の見積りにあたって考慮することと定められています(適用指針第13項)。